日本では発達障害と見なされやすい?(その6)


イギリスにおけるASD(自閉症スペクトラム障害)のアセスメント

この間、セカンダリースクール(12~16歳)に通うSMの女の子のお母さんと話す機会がありました。娘さんは幼稚園入園時から場面緘黙になり、小学校低学年で一端回復したものの、5年生の頃から徐々にまた緘黙傾向が強くなったそうです。娘さんの社会性を心配して最近ASDのアセスメントを受けたと聞き、その経過を教えてもらいました。アセスメントの際、日本のようにWISCなどの知能テストが行われるかどうか知りたかったからです。

言語療法士経由で学校に相談したのは、娘さんが6年生の時。学校から地区のCAMHS(Child and Adolescent Mental Health Service 子どもと青少年の心の健康を専門とするクリニック)に紹介してもらい、実際に精神科医に会うのに2年もかかったとか!イギリスの国民医療サービス(NHS)は無料だし、専門医の質も高いんですが、システムが複雑で待ち時間が長いのが玉に瑕…。同じNHSの医師に私立の病院で診てもらうと、目玉が飛び出るほど高額なんです(万単位)。

まず、CAMHSに紹介された時点で、オンラインの申し込用紙に娘さんの情報などを記入。その後、学校側と専門家がミーティングを行い、精神科医に診断してもらう必要があるかどうか相談する予定だったそうですが、CAMHS側が診断必要ありと判断したため、10ヵ月後に最初のアポが入ったとか。

初診は何と医師ではなく精神科のナースによる面談。その結果を専門家たちが話し合い、ASDの可能性があるのでアセスメントが必要と判断されたそうです。

それから次の受診日を待つこと1年。精神科医が両親に問診を行い、その結果ASDではなく社会不安障害という診断がおりたそうです。娘さん個人にも別個に質問する予定でしたが時間が足りず、そちらの方は次回に回されたそうですが、まだそのセッションは行なっていないとのこと。

CAMHSからの報告書によると、ASDのアセスメントに使われたのは、Dimensional Developmental and Diagnostic interview (3DI) Observational assessment

不安障害の診断に使われたのは、SCARED (Screening for Child Anxiety Related Disorders)
だそうです。

言語療法士たちは、最初からASDではなく不安障害ではないかという意見で、これはASDの疑いを除くためのアセスメントではないかと話していたそう。やはり、日本のようにWISCなどの知能テストで自閉症スペクトラムかどうかを判断することはないようですね…。

「日本では発達障害と見なされやすい?(その2)」で触れたのですが、うちの息子も主治医(GP)に頼んでCAMHSに紹介してもらい、7歳の時にASDのアセスメントを受けました。その際は5ヶ月後に診察してもらえたので、私が住む地区は待ち時間が短い方なのかもしれません。結果からいうと、問診してすぐにASDの心配はないと言われました。

受診の理由は、当時かんもくネットでPDDと診断されるお子さんが多く、心配になったこと。息子には感覚過敏があり、学校で男子のグループの中に溶け込めなかったり、家で意固地になることが多かったためです(友達関係に関しては、診察を待っている間にかなり改善されました)。

うちの場合は、私と医師、(父親が隣について)子どもと医師が別々に問診を受けました。多分、彼女の家族が受けたのと同種類の質問だったと思いますが、報告書には「アスペルガーシンドロームのスクリーニング質問表使用」とあるだけ…。加えて、学校での様子や友人関係、成績などについて担任からの情報と、それに対する医師の所見も記載されていました。

スクリーニング質問表は既成の自己診断テストをもっと具体的にした感じかな。息子の普段の生活の態度や性格など、細かいところまで具体的に訊かれた記憶があります。

「軽度発達障害フォーラム」というサイトでPDD(ASD?)自己診断テストを見つけました。気になる方は参考程度にトライしてみてください。自己診断で特に問題がないようであれば、それ程心配することはないように思います。もし心配な場合は、早急に児童相談所などに相談に行くことをお勧めします。どんな問題であれ、子どもが直面している困難を見極めて、どの様なサポートが必要かを知ったうえで、早めの対策を練ることが大切かと思います。

PDDオンライン自己診断

http://www.mdd-forum.net/check_sheet/checksheet_pdd.htm

PDD・アスペの定義と診断基準

http://www.mdd-forum.net/asp_teigi.html

ASDの定義自体が一般の健康な人を含んだスペクトラム(連続体)なので、少々社会性に欠けるとか、コミュニケーションが苦手であっても、環境に適応できていれば、個性の範囲に入るのではと私は思っています。また、そういう傾向を持つ子どもには、その傾向に対するASD児への対応を参考にできると思います。

私は9月から自閉症児専門の小規模な私立校で、週に1回TAの研修をさせてもらっています。生徒は殆どアスペの男児ばかりでなんですが、会話をしていると、話題が一方的で視野が狭く、会話のキャッチボールができないという共通点があるように感じます。視線は合うし、質問にもちゃんと答えるものの、こちらのボディランゲージや周りの状況を全く読めないよう。話題が自分の興味に集中して、話が膨らまないんですよね。ちなみに、30名強の生徒のうち、場面緘黙の子はひとりもいません。

緘黙は発達障害なのか?

日本では発達障害と見なされやすい?(その1)

日本では発達障害と見なされやすい?(その2)

日本では発達障害と見なされやすい?(その3)

日本では発達障害と見なされやすい?(その4)

日本では発達障害と見なされやすい?(その5)

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