息子の緘黙・幼児期4~5歳(その14)褒めて自信をつけさせる


この秋は例年に比べ暖かでしたが、11月に入ってさすがに冷え込みが厳しくなってきました。森の中の散歩道は、高い樹々からハラハラ散る葉っぱで埋もれています。イギリスでは落葉樹はそれほど紅く紅葉せず、黄色くなって散ることが多いよう。

     しーんと静かな森に、時折カサコソとリスが動き回る音が

さて、息子の緘黙の続きです。

学校も、母親の私も、どうして息子が教室で固まって動けなくなったのか理由が判らないまま、支援がスタートしました。

以前、教室で息子と一緒に過ごした際、息子の顔が能面のようになったのを見て心底驚いたことを書きました(詳しくは『息子の緘黙4〜5歳(その10)』をご参照ください)。これに加え、もうひとつ驚いたのは、息子の描く絵が変わったこと。

息子は割とお絵描きが好きで、黄色やオレンジなど明るい色彩を使ってカラフルな絵(線画っぽい)を描くことが多かったのです。でも、この時期に学校から持ち帰ってくる絵は、まるで別人のもの。色使いが黒っぽくなり、人や動物などの対象ではなく細い線でグルグルと塗りつぶしたような感じに…。

一番ショックだったのは、赤黒いボールペンで一面を塗りつぶしたような絵。たまたま近くにあったボールペンを手にしただけかもしれませんが、「えっ、なにこれ?!」と不安になりました。もしかしたら何か心理的な問題を抱えているのかもと、怖くなったのです。

この頃、息子と同じような子はいないものかと、毎日深夜までネットサーチをしていました。自閉症児のお母さん達が綴るブログを読み漁って、その子育ての大変さに驚かされ、ふと気づくと午前1時を周っていたり…。でも、なんか違うんですよね。

主人は親身になってくれないし、ひとりぼっちで暗いトンネルの中にいるような心持ち。寝不足も手伝って、毎日が不安でたまりませんでした。

でも、癇癪は増えたものの、家での息子は以前とあまり変わりません。学校に行きたくないとは一度も言ったことがなく、毎日普通に登校してました。学校が終わって教室から出てきた後、クラスが違う幼稚園時代の親友T君と校庭を駆け回る姿を見るのが救いでした。

T君のママには、息子がクラスで動けなくなってSENCOとミーティングをしたことは黙っていました。放課後は以前と変わらず動けて遊べているので、なんとなく言い出せなかったのです。

ある日、教室で保護者が子どもの様子を見学できる日がありました。たまたま担任が息子の側にいたんですが、二人の女の子がやってきて、「先生、◯◯君はどうしてやらないの?」と息子が課題をしないことに触れたのです。

すると、先生は「◯◯君は準備ができたら自分でするから、放っておいてね」とにっこり。女の子たちは納得したのか、すぐどこかに行ってしまいました。その言葉に、「さすが個人主義の国だな」と妙に感心した記憶があります。

担任は大学を卒業したばかりの若い先生でしたが、姉御肌というか、包容力があってとても頼りがいのある女性。よく泣いてる子を膝にのせて(本当はダメなんですが)いたのを覚えています。

「日本語で”It’s all right”は何ていうの?」と私に訊いてくれて、息子にはよく「大丈夫、大丈夫」と日本語で声かけしてくれていたよう。それから、息子が何かできた時には、ご褒美の黄色いCertificate(頑張った子への証書)を気前よく出してくれました。

毎週何枚かCertificateをもらってくるのですが、ある日の放課後クラスの子が寄ってきて、「あ~、僕まだ1枚しかもらったことない!いいな~!」と羨望のまなざし。後でクラスのママさんに訊いたら、普通はそんなに頻繁には出してもらえないんだとか…。全然知りませんでした。

イギリスではよく「褒めて育てろ」と言うんですが、不安を抱えている息子に自信を持たせようとしてくれてたんですね。

そんな温かい支援のおかげと、学校生活への慣れもあってか、息子はなんとか動けるようになり、徐々に課題もこなせるようになっていきました。緘黙は続きましたが、緘動は1、2ヶ月で脱出できたようです。

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