ケント&東サセックス州のコテッジホリデー(その1)

お久しぶりです。先週頭から仕事が入って忙しくなってしまい、なかなか更新できませんでした。ふと気づくともう8月も終わり…今年の夏も残すところあと僅かですね。

今年の夏休みは、8月12日からの1週間をイングランド南東部にあるケント&東サセックス州で過ごしました。歴史ある小さな港町、ライの近くの村にコテッジを借り、海岸沿いの町や海辺を訪れたり、庭巡りをしたり。ずっと冷夏が続いていましたが、奇跡的にも快晴の日に多く恵まれて、つかの間の夏を楽しむことができました。

ロンドンからライまでは2時間ほどですが、まず最初に訪れたのはブライトンにほど近いルイスという町の東ばずれにあるファームハウス、チャールストン Charleston。ここは20世紀初頭にロンドンのブルームズベリー地区に集まった文化人や芸術家のサークル、「ブルームズベリーブループ」の主力メンバーだったヴァネッサ・ベルが1916年に移り住んだ田舎家です。

途中で道が渋滞して、私たち家族が着いた時にはすでにハウスツアーが始まっていました。知識豊富なボランティアさんが、10人くらいのグループを連れて、各部屋や住人たちの説明をしてくれるのです。

インテリアデザイナーとしても知られる画家のヴァネッサは、作家ヴァージニア・ウルフの姉。この姉妹が住んでいたブルームズベリーに、美術評論家のクライブ・ベルなど主にケンブリッジ大学の仲間たちが集っていたのです。その中には作家のEMフォスターや経済学者のケインズなども。

ポスト印象派後のモダニズムを追求し、19世紀の古い道徳観念から逃れようとした彼らの人間関係は、複雑にもつれ合うもの。男女の愛人を持つことが当たり前のオープンマリッジ――夫婦関係や恋愛関係が壊れても、仲間であり続けたのがすごい。LGBTの権利が叫ばれる現代より進んでたかも。

チャールストンでヴァネッサと2人の息子と同居したのは、夫のクライブ・ベルではなく(彼は新たな恋人と同棲中)、画家のダンカン・グラントと その恋人のデヴィッド・ガーネットでした。この男同士のカップルは、農場の仕事をするという名目で兵役を拒否してここに引っ越してきたんだとか…。後に、ヴァネッサはダンカンと恋に落ちて娘をもうけ、その娘が成人した時デヴィッドと結婚したそう。う~ん。

ヴァージニア・ウルフ夫妻など、グループのメンバーや友人達がロンドンから頻繁に訪れ、経済学者のケインズに至っては、ここで『平和の経済的帰結』を執筆しました。ロンドン暮らしに疲れたら週末にやってきて、英気を養う拠点となっていたんですね。

(館内の写真撮影は禁止。これは窓から中を写したものです)

話を戻すと、インテリアデザイナーと画家の隠れ家的な田舎家は、家具だけでなく、壁、窓、暖炉の周辺など至る所に絵や模様が描かれ、家全体がキャンバスという感じ。グレーやくすんだ青など、ちょっと懶い感じの色調や20年代風のデザインが素敵でした。ヴァネッサが1961年に亡くなるまで絵を描き続けたアトリエも。画家ロジャー・フライが手がけたという庭も、絵を描いたような自由でワイルドな趣きでした。

実は、車を降りた途端に田舎の匂い(牛の糞の)が鼻をついたのに、人間の慣れって怖いものですね。見学後は全く気にならず、カフェの中庭でランチを楽しみました。

 

すごいボリュームでびっくり

コテッジに向かう途中、ヘイルシャムという町にあるお堀に囲まれた中世の修道院、ミチェルハム(Michelham Priory)に寄りました。修道院といっても、教会は地域民を統制する立場にあり、修道僧達は外で活動していたとのこと。戦争や地域民が反乱した時に備えて、修道院なのに堀を巡らせて見張り塔までつけたんですね。とにかく庭が広すぎて、とても全部は回れませんでした。

チューダー王朝時代には権力者のカントリーハウスだったそう

まだまだ明るいうちにBeckley村のコテッジに辿り着きました。18世紀ころ建てられたものらしく、ドアの鴨居が低くて私でも頭をぶつけそうなほど(当時のイギリス人はかなり小柄だったんですね)。よく見ると、天井は古い梁は補強され、床板は新たに入れたものでした。私たちが借りたコテッジは左側。お隣さんとゲート前の小路をシェア

左から居間とキッチン、そして2階へと上がる急な梯子段

ベッドルーム2つとかなり狭いバスルーム

でも、マリーンをテーマにした青と白の爽やかな内装に、「いい感じ」と喜んでいた初日から事故が勃発。ゆっくりお風呂につかり、シャワーを浴びて出ようと思ったんですね。シャワーの位置が高かったので、調整しようと思って下に押したら、何とシャワーレールごとタイルの壁からお湯に落下!

「え〜っ、そんなあ」と泣きそうになって家族に訴えたら、うちの男子2人は冷たくて…。息子は私が何か失敗したんだろうと「マミ〜」と顔をしかめ、夫は「見せてみろ」と2階へ。

「これ、スクリューを緩めてから高さを調整するんだよ」と言われ、よく見たらその通りでした。でも、そんなに力を入れてないのに、いきなり壁から落ちますか?! 旅行保険が効くかどうか--トホホ…。

    この急な階段から転げ落ちないよう、毎回気を使いました

 

 

 

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