『選択性緘黙への治療』を読んで(その1)


この春出版された『そだちの科学』2014年4月号に、『選択性緘黙への治療』と題された特集記事が掲載されました。山村淳一・内山幹夫・加藤大典・杉山登志郎(敬称略)と、4人の名だたる児童精神科医たちが共著した最新の緘黙研究論文です。

http://www.nippyo.co.jp/magazine/maga_sodachi.html

(その中でも、杉山登志郎氏は日本における高機能自閉症の権威と呼ばれる存在(日本では発達障害と見なされやすい?(その5))。『そだちの科学』の編集にも関わり、複数の記事を執筆されています)。

この論文を入手することができたので、元緘黙児の保護者として、勝手に疑問点をあげさせていただき、更にちょっとツッコミを入れさせていただけたらと思います。

まず冒頭の書き出しから、

「選択性緘黙は、家庭でのコミュニケーションは問題がないにも関わらず、学校など、主として集団教育場面での言語交流を拒否するという病態である」

(『そだちの科学』2014年4月号掲載、『選択性緘黙への治療(山村淳一・内山幹夫・加藤大典・杉山登志郎)』より引用)

えっ、どうして!?しょっぱなから、「言語交流を拒否」と断言されてしまうと、ものすごいショック…。最近ではメディアの露出も徐々に増え、緘黙児が「話さない」のではなく、不安のため「話せない」のだという概念は、かなり定着してきていると思ってたのに…。臨床医の先生方はそれが間違いだと考えておられるのか、それとも場面緘黙がまだまだマイナーで古い文献を参照しておられるのか…。

1994年にDSM-IVにおいて、場面緘黙の診断名は、”elective mutism” から”selective mutism” に変更されました。これは、”elective” という単語が、子どもが特定の場面で話さないことを、自らの意思で選んでいるという意味合いが強かったため。多数の研究に基づいた変更であり、SMIRAのアリスさん達の尽力もあったと聞いています。

更に、2013年5月に改訂された最新版(DSM-V)では、場面緘黙が「通常、幼児期・小児期、または青年期に初めて診断される疾患」というカテゴリーから、「不安障害」へと移行しました(場面緘黙とは?(その2))。

『選択性緘黙への治療』では、緘黙と不安障害との関連を調べていて、その結果が下記のように示されています。

  • 分離不安 全体の35%
  • 不登校 全体の46%                                                (重複しているのは16名(全体の18%)、有意の相関は認められない)

またまた疑問ですが、どうして分離不安と不登校?社会不安についてはどうだったんでしょう?また、この結果を受けて、「不安が原因で話せないのではない」という見地から、上記の書き出しになったんでしょうか?とっても知りたいです。

ちょっと時間がないので、今回はここまで。

 

【今月は場面緘黙症啓発月間です】

  • 場面緘黙は子どもの将来を大きく左右しかねない深刻な状態です!早期の発見と介入が望まれます。どうか後回しにしないでください
  • わざと話さないのではありません。本当は皆と同じように話し、行動したいんです!ひとり黙っているのは、とても辛くて苦しいんです
  • 周囲の理解と共感が不可欠です!すぐには治りません。温かく、忍耐強く見守ってください
  • 緘黙していると、言語、社会性、コミュニケーション・スキルの発達が妨げらる恐れがあります。家庭では安心して、楽しくおしゃべりできる環境を整えましょう

 (5月の場面緘黙症啓発月間の発起人は、『場面緘黙ジャーナル』の富重さんです)

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です