息子の症状が場面緘黙だと判りSMiRAの資料や専門書を読んで、早期発見とサポートが肝心だと解りました。そして、幼少期なら早い回復が望めることも。
本人を安心させるため、世界中に緘黙の子どもがいること、不安のため声がでないことを説明した方がいいというのは理解できました。
が、息子はまだ4歳。できれば本人の自覚がないうちに治してやりたい――という親心(?)が働きました。まだ小さいから、なんだか解らないうちに治っていた状態にできたら…。最初は長期戦といっても、それほど時間はかからないだろうとタカをくくっていたのでした…。
(でも、どんなに幼くても自分の状況をそれなりに把握していて、周囲からの支援を自覚していたと、後で知ることになりました)
当時の息子は、幼いながら「自分はみんなと違っている」「話せないことは悪いこと」と感じているようでした。そのことについては一言もいいませんでしたが、漠然とした不安をひとりで抱え込んでいたのでしょう。
(息子の場合、幼稚園時代から学校での出来事を自分から話すことはめったにありませんでした。ダイレクトに訊かれるのを嫌がるので、園や学校の情報は友達やママ友や経由がほとんど。ですが、少し時間が経ってから、ふと詳しく話し始めるという…。私がすぐ理解できないと息子はご機嫌斜めに――どうも、母親の私は、自分のことや気持を全て把握していると思い込んでいたようです)
私が実行したのは、「緘黙」の代わりに「怖い」という言葉を使い、恥ずかしがり屋で内弁慶だった自分の経験を話して、息子を安心させることでした。当初は、意識して「学校でしゃべれない」「声が出ない」といった言葉を避けました。
(詳しくは『告知するかしないか(その2)』をご参照ください)。
誰でも直接自分の痛いところをつかれるのは嫌なもの。拒否反応を示す子も多いかもしれません。だけど、第三者のことなら「人ごと」なので安心して聞けます。絵本や人形などを使って説明するのも効果的だと思います。
息子はひとりっ子なので、二人だけの時間を作るのはそれほど難しくありませんでした。でも、帰宅してすぐは学校でのストレスもあるのでNG。おやつを食べて好きな玩具で遊んで――寛いでるなと感じた時がチャンスだったかな。子どものが落ち着いている時に、さりげなく話すのがいいと思います。
向き合って目を合わせるよりも、膝の上に抱っこして体温が伝わるような感じで。就寝前に本の読み聞かせをする時も、横に並ぶので親密な感じで話せました。
まずは、私が息子の味方だということを肌で感じてほしかった。その後に、B君や担任の良いところにも触れ、学校が楽しい場所であるというイメージ作りも。
「マミーが小学校にあがった時、学校は大きいし人はいっぱいいるし、毎日怖かったよ。でも、少しずつ慣れてくるからね」
「マミーは何をしていいのか判らなくて、いつもA子ちゃんに教えてもらってたなぁ。〇〇はT君と違うクラスだから大変だね。本当に頑張ってるね」
「〇〇の教室には玩具がいっぱいあって、庭がついてて良いね。日本では、クラスに専用の庭がある学校なんかないよ」
上記のような感じで、言葉がけをしました。自分も体験したことなので「学校が怖い」「恥ずかしい」という気持ちは、痛いほど解りました。
私が話している間、息子は何もいいませんでした。が、私も幼い頃自分と同じように恥ずかしがり屋で内弁慶だったと知り、安心した様子。世界中に同じような子どもがいること、親戚にもとてもシャイな人がいることなども話しました。
すると、「どうして僕だけそうなの?」「ズルイ」と…。
以前も書きましたが、私の両親と兄は社交的で、何故か私だけがこの気質。でも、抑制気質の叔父と従弟がいて、実は兄の子どものひとりも小さい頃はめっちゃ大人しかったんです(中学頃から活発になり、現在は人前に立つ仕事をしているから不思議なものですね)。
小さい頃の私に輪をかけて繊細・自意識過剰だった(今も継続中?)息子――抑制的な気質が自分よりさらに悪化して遺伝してしまい、ものすごく申し訳なく感じているのです。
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